一般の皆さまへ

結核について

結核ってどんな病気?

肺結核を発病した初期の症状は風邪に似ています。

肺結核の初期の症状は風邪に似ていて、多くは咳(せき)、痰(たん)、発熱等の症状がでます。しかし、結核は肺以外に胸膜 (肋膜(ろくまく))、リンパ節腎臓 (じんぞう)、脳など身体のあらゆる部分に病気をおこします。

次のような症状があれば早めに受診しましょう。

  • 痰のからむ咳が2週間以上続いている
  • 微熱・身体のだるさが2週間以上続いている

結核ってどうやって感染するの?

結核は咳(せき)やくしゃみなどで飛び散った結核菌を吸い込むことによって空気感染します。

結核を発病している人の咳(せき)やくしゃみとともに飛び散った結核菌は空気中に長く浮遊し、それを周りの人が吸い込むことで空気感染します。

ただし、結核菌を吸い込んだ人がすべて感染するわけではありません。吸い込まれた結核菌の大半は鼻やのど、気管支などにある繊毛(せんもう)と呼ばれる組織の働きによって排出されます。さらに肺にまで到達した結核菌も自然の免疫力によって排除されてしまうことが多く、ほとんどの場合は感染には至りません。これらの防御機構から逃れた結核菌が肺の奥にまで到達することで感染が成立します。

結核に感染したらかならず発病するの?

感染者のおおむね20~25%が発病するといわれています1)

結核菌に感染すると、感染後3ヵ月から2年くらいの間に10~15%の人が結核を発病します。残った人々においては、結核菌に感染しても免疫力によって菌の増殖を抑えて、菌を休眠(いわば冬眠)状態にしてしまいます。このように体内の菌が休眠状態であることを『潜在性結核感染症』と呼びます。潜在性結核感染症は発病していませんので、他の人に結核をうつすことはありません。

潜在性結核感染症の状態では、感染後10年、20年と何も症状がないのがふつうです。しかし、免疫力が弱まって(生活習慣病にかかったり、免疫抑制剤で治療したりなど)、休眠状態だった結核菌の増殖を抑えきれなくなり、結核菌が増殖を始めることによって発病します。このようにして潜在性結核感染症の人のうち10~15%が発病します。つまりひとたび結核の感染を受けた人々は生涯を通じておおむね20~25%が発病することになります1)

赤ちゃんは結核の発病を防ぐための免疫力が未熟です。そのため、結核に感染すると発病する危険性が高いだけでなく、重症化しやすいといわれています。そこで発病を予防するためのBCGワクチンが必要になります。

1)Chiba, Y: Bull IUAT., 49, 321-324, 1974.