- 「BCG」は何の略ですか?
- 「BCG」とは、Bacillus Calmette-Guerin、「カルメット(Calmette)とゲラン(Guerin)の菌」の略です。BCGワクチンは、フランスLille市のパスツール研究所のカルメットとゲランによって開発されたものです。ウシ型結核菌を13年間230代継代培養したことにより弱毒化に成功しました。BCGワクチンは、結核予防のための生菌ワクチンで、凍結乾燥製剤です。当社(わが国)で製造されているBCGワクチンは、東京172株という菌株からつくられております。
- BCGワクチン接種によって結核に対する免疫が出来る作用メカニズムについて、簡単に教えてください。
- BCG接種は、結核菌に対する抗体をつくらせるのが目的ではありません。結核に対する免疫は、Tリンパ球とマクロファージを主体とした細胞性免疫によるものです。
というのも、結核菌は細胞内に寄生しますので、細胞内に入ることができない抗体による体液性免疫は、通常役立たないからです。
体内に入ったBCGはまずマクロファージに貪食され、抗原情報がTリンパ球に提示され、Tリンパ球はBCGの抗原で感作されます。BCGと結核菌とは共通の菌体たんぱく質をもっていますので、BCGに感作されたTリンパ球は結核菌そのものの抗原で感作されたと同じ能力を持つようになり、記憶細胞として待機し、結核菌に遭遇したときに備えます。
次に結核菌が入ってくると、この感作Tリンパ球が幼若化・増殖して、インターフェロン-γなどのサイトカインを産生することによって、マクロファージを活性化します。そして、この活性化されたマクロファージが結核菌を効率よく貪食・殺菌します。 - BCGワクチンによる結核予防効果について教えてください。
- BCG接種による結核発病予防効果については、最近活発に研究が行われ、その結果は次のように要約できます。
- BCG接種は適切に接種が行われれば、結核の発病を接種しなかった場合の4分の1くらいに抑える。
- BCG接種は、結核性髄膜炎や粟粒結核等の小児の重篤な結核の発病予防に、特に効果が高い。
- BCGを一度接種すれば、その効果は10~15年ほど持続する。
- 乳幼児期のBCGワクチン接種は何歳までに行えばよいでしょうか。
- 平成17年4月からは、「生後6か月に達するまで」に(6か月目になる前に)、BCG接種を行うことになりました。従来の「生後4歳に達するまで」から随分と接種時期が早められたのは、結核感染前にBCG接種を実施することにより、乳幼児期の重症結核等を予防するという観点からです。ただし、実施する市町村のやむを得ない状況(地理的条件、交通事情、災害の発生等その他特別の事情に限る)の場合は、(6か月を過ぎても)「生後1歳に達するまで」に接種します。
(被接種者側の都合は一切考慮されませんので、ご注意ください。) - 生後3か月未満の赤ちゃんにBCGを接種できますか。
- 確かに法の規定では、生後3か月以前に接種することも可能ですが、BCG接種を「生後3か月以降のできるだけ早い時期」にすることが長年勧められているのは、それなりの理由があります。
新生児のなかには極めてまれながら先天的な免疫不全児がみられることがあります。しかし、生後すぐに先天的免疫不全の診断は不可能であり、もし万一このようなこどもにBCG接種をすると、BCG菌が体内で異常増殖し、重篤な副反応が生じる危険があります。 免疫不全児は肺炎や下痢などを起こしやすく、生後3か月くらいまでには何らかの異常に気付くのが普通であり、3か月もすれば先天的免疫不全に気付かずBCG接種をしてしまうようなことが少なくなると思われます。
また、生後直後では腋窩リンパ節腫大が多く見られます。台湾のデータでは、0か月児の約4分の1でリンパ節腫大起こり、しかも全例で穿孔がありました。
なお、WHOは、生後できるだけ早く(産院にいる間に)BCG接種をするように、主として発展途上国に対して勧告していますが、これは途上国のような結核の高蔓延地域では、多少の安全性を犠牲にしても早期に接種した方が結核予防の面で有利、という考慮に基づいたものです。 - BCGワクチンの「接種不適当者(予防接種を行うことが適当でない者)」の各項目の内容について、説明してください 。
- 添付文書に記載してある内容は、下記(添付文書の抜粋)のとおりです。
結核予防法施行規則および定期の予防接種実施要領に規定する内容ですが、5.については自社判断で加えてあります。免疫不全状態の人には絶対に接種をしないよう、特に注意を喚起するためです。
- 明らかな発熱を呈している者
- 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
- 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者
- 結核その他の予防接種、外傷等によるケロイドの認められる者
- 免疫機能に異常のある疾患を有する者及び免疫抑制をきたす治療を受けている者
- 結核の既往のある者
- 上記にかかげる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者
- 妊婦(妊娠する可能性がある女性を含む)へのBCG接種は可能ですか?
- 妊婦へのBCG接種の実績がほとんどなく、安全性についての知見がありませんので、接種は避けてください。
- 例えば、ゼラチンとか鶏卵由来の成分のような、アナフィラキシーの原因となるような添加物は入っていますか?
- BCGにはグルタミン酸ナトリウムが添加されています。溶剤は生理食塩液です。
卵由来の成分、抗生物質、ゼラチン等は入っていません。
また、アルブミン、チメロサール、アルミ、ホルマリンなども入っていません。 - BCGと他の薬剤との相互作用について教えてください 。
- 副腎皮質ホルモン剤と免疫抑制剤(シクロスポリン製剤等)が併用禁忌になります。
免疫抑制的な作用を持つ薬剤、特に長期あるいは大量に投与を受けている場合は、BCGが全身に播種されてしまう危険性もありますので、接種はしないで下さい。
また、他の生ワクチンの接種後27日、不活化ワクチン・トキソイドの接種後6日おかなければ、接種しないことになっております。 - 2週間前にポリオの予防接種を受けましたが、今日BCG接種を受けられますか。
また、DPT(ジフテリア・百日せき・破傷風=三種混合)ならどうですか? - 生ワクチン(ポリオ、麻しん、風しんなど)を接種してから27日、不活化ワクチン(DPT、日本脳炎など)の接種後6日おかなければ、原則としてBCG接種はできません。また、BCG接種後27日おかなければ、原則として他の予防接種ができません。
本問の場合、ポリオなら受けられませんが、DPTなら受けられます。 - BCG接種の副反応はどういうものですか?
- 接種後10日以降に接種局所に赤いポツポツができ、一部に小さくうみをもったりします。通常1~2か月でかさぶたができて治ります。これは異常な反応ではなく、むしろBCGがついた証拠です。この局所反応がひどい場合は、医師に診てもらってください。
ときに(約1%)腋窩リンパ節腫大がみられます。出現時期は4~6週間後が多いです。大きさは大きくても2cm程度で、ほとんどすべて2か月程度で縮小、消失します。通常は放置して様子をみるだけでかまいませんが、3cm以上になるとか、化膿してうみがでたりしたら、医師に診てもらってください。
例外的ではありますが、重大な副反応として、ショック・アナフィラキシー様症状全身播種性BCG感染症、骨炎(骨髄炎、骨膜炎)、皮膚結核様病変(狼瘡、腺病性苔癬など)の報告もあります。 - BCG接種後、腋窩リンパ節腫大がみられたときは、どう対処したらよいでしょうか?
- 3か月児にBCG接種を行い、1~2か月後に触診するとリンパ節の腫脹が認められることがあり、その頻度は約1%といわれています。大きさも大きいもので2cm程度までで、次第に縮小し、自然に治癒します。この程度のリンパ節腫大はBCG接種後の正常反応の範囲内のもので、異常な反応と考えなくてよいでしょう。
リンパ節の大きさは時とともに変化し、またきわめてまれに瘻孔(組織が欠損して管状の穴ができること)を形成した例がありますので、経過観察は必要です。リンパ節が化膿して波動を触れるか、皮膚との癒着、瘻孔の形成、あるいは3cmを超えるほど大きくなれば、対処が必要になります。 - BCGワクチンの有効期間は何年ですか?
- BCGは国家検定合格後2年間の有効期限があります。ただ、実際に納品される製品の有効期限は、流通等の事情でこれより半年から1年はどうしても短くなっております。
- BCGワクチンがなかなか懸濁できず、懸濁するのに時間がかかってしまいます。
また均一に懸濁出来ないのですが 。 - 溶剤(生理食塩液)を全量一気に入れてしまったり、溶剤がワクチンに充分染み込まないうちにアンプルを振ってしまった時などに懸濁できない事があります。1人用BCGワクチンの懸濁方法は次のとおりです。
溶剤をアンプルの内壁を伝わらせるように静かに注入し、そのまま2~3分静置してワクチンを均等に充分湿らせ、泡を立てないよう静かに振っていただきます。多少時間がかかることはあるかもしれませんが、均等な懸濁液ができます。
なお、アンプルをカットするときに、消毒に使ったアルコールがアンプル内に入ると、溶けなくなりますので、アルコールが入るような操作は絶対に避けてください。


